ジロは日本では幼稚園の年長さんです。彼の幼稚園ライフは兄、タロの初登校から2日送れてスタートしました。
オランダにいるとき、帰国後の話になって、タロが「オレは小学校二年生、ジロは幼稚園だね」って言ったら「えーーー!オレもschoolがいい!」とブーイング。オランダですでに小学生になっている気のジロ(実際色々勉強してます)、日本で幼稚園というのが納得いかないらしい。いや、でも実際幼稚園っていう言葉の意味を知っているのか??でも一応、プリスクールという言葉を使って、ジロも学校だよ、と説明しておきました。
正直、タロのことが心配で、私自身、日本で親としての小学校は未体験だし、タロの学校のことにばかり気を取られて、ジロの幼稚園の面談のことをすっかり忘れておりました(^^;)タロの小学校のことばかり話していて、夫に「ところで、ジロの幼稚園はどうすんの?」って訊かれて、
え?(・o・)
おーー忘れてた〜〜って慌てて幼稚園にアポを入れる始末。ごめんよジロ。
我々は渡蘭前に住んでいた市に帰れることになったので、なるべく以前住んでいたエリアに近い住居を探し、見つけることが出来ました。なのでタロが通っていた幼稚園にジロも行くことになり、私としては慣れ親しんでいる場所故、どうしても気が緩んでおり…。先生方もタロのこと、タロにくっついて幼稚園に来ていたジロのことを覚えていて下さいました。年長さんとはいえ、日本での集団生活の経験が皆無のジロ。年少さんと同じように手がかかるかもしれない、という私の言葉に先生方は大丈夫ですよ〜と温かく迎えて下さったのでした。
最初はタロの初登校と同じ日に初登園を考えていましたが・・・終わらない。名前付け(涙)。タロを優先させたためにジロの名前付けが間に合わず、仕方なく二日遅れで登園することにしたのですが、ジロは激怒。タロが学校に行ってしまって、私も夫も片付けや手続きのためにジロの相手をしてやれず、「つまんなーーい。早く学校行きたいーー!」と二日間言い続けておりました。その二日間で幼稚園生活への憧れがふくれあがって、初登園の日は喜びが大爆発!幼稚園まで送った私の方を振り返りもせず、飛び上がるようにスキップしながら園に入っていったジロでありました。
ジロは物怖じしない性格に見えるかもしれませんが、実はここぞというとき、怖がったり、臆病になったりしちゃうのです。初めての日本の幼稚園、それもこれまでタロと一緒だったので、タロの不在に心細くなったりしないかな、という私と夫の杞憂は...一蹴されました(笑)。その後数日に渡って、担任の先生からジロの様子について電話で報告があったのですが、それは私たちを驚愕させるものだったのです。
初めての集団生活がオランダのインターということもあって、日本人として身につけるべき様々な生活態度、生活習慣、学ぶべきことがおろそかになってしまう、と心配し、オランダ滞在中私なりにいろいろジロに教えてきました。しかし、ジロはことごとく拒否。例えば箸を使うこと、日本独自の食材(乾物など)を使った料理を食べること、ひらがなに慣れること。全部嫌がりました。無理強いしても逆効果と考え、結局オランダ滞在中には箸も使えない、偏食著しい、自分の名前をひらがなで書くのがやっとの5歳児だったわけです。
ところが、ところが。若くて優しいお姉さん先生に「ジロくん、先生と一緒にこのブロッコリー、パクってしちゃおうか!」って言われて、パクッとしちゃったんですよ!ブロッコリ!あの偏食男、ジロが。おまけに切り干し大根も!ほんでもって、箸を自ら使うようになりました。幼稚園児、日本人としての自覚でしょうか!?さらには、幼稚園の工作の時間に父の日用の作品を作ったのですが「びーるもてくるけん(ビールを持ってくる券)」「こしをもむけん(腰をもむ券)」など、ひらがなで書いているではないですか。あれほど平仮名を書くのに拒否的だった彼が!!もう信じられないことの連続です。
オランダのインターで、自主的であること、個性的であることをよしとされ、協調性のかけらもなかったジロが、お友達から色々教えてもらいながら、園の一日の流れについていっている。それだけで驚きです。日本の幼稚園でみんなと一緒に一斉に何かをすることが果たして彼に出来るのか、とても不安でしたが、楽しい雰囲気のもと、ジロは目一杯楽しんでいるようです。いやー幼稚園恐るべし。ミラクルですね。マジックですね。
かくして、毎朝、タロが家を出たあと、「まだ行かないの?まだ行かないの?」と玄関先で20分以上も待っているジロなのでした。幼稚園に行くのが待ちきれないって訳です。まだ時間が早いんだよ。もうちょっと家でのんびりしておくれよ、と嘆く日々なのでした。